有給休暇に希望を乗せて!24時間働けますか!?なんて歌も昔ありましたね。聞いてみたい人はYouTubeで「勇気のしるし」とでも検索してみてください。栄養ドリンク・リゲインのCMソングですよ。というわけで今回は私が長期連続で有給休暇を取得した話でも。
時季指定権と時季変更権
有給休暇は労働者に与えられた権利です。しかしその運用には一定のルールがあるものです。サラリーマンたるものその基本は抑えておかねばなりません。
有給休暇をめぐる労使間の戦いは時季指定権と時季変更権の戦いに他ならない。我々労働者は如何に時季指定権を濫用されないか常に監視の目を持って望まねばなりません。
時季指定権とは
文字通り労働者が有給休暇を指定する時季を指定する権利です。労働基準法第39条第5項に規定されているものです。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
時季変更権についても同じ条文に規定されていますね。
時季変更権とは
前述の条文の通り、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」権利です。
その時期に休まれると事業の正常な運営を妨げるから勘弁して下さい、ということが出来る権利です。
「事業の正常な運営を妨げる」
というのがポイント。全てはこの1点をめぐる鬩ぎ合いです。
私の取った方法
長期の休暇を取得するにあたって留意したポイントは以下のとおり。
- 十二分にに余裕を持った申告を行う
- 有給休暇の取得は労働者の権利であり、使用者がこれを認めないことは極めて重大な行いであることを管理者に認識してもらう
- 有給休暇取得に関するやり取りはきちんと記録を残す
- ふざけているわけでは無いことを明確に主張する
本当に意味があるのは1点目だけなんですけどね。
期間については4ヶ月間の猶予を取りました。4ヶ月後に30営業日連続で休暇を取得しますと宣言しました。私の職業はシステムエンジニアですが、当時私が所属していたプロジェクトでは4ヶ月の間に工程の切れ目があり、次工程での体制も未確定であったため、この申告を持って十分に調整可能だと判断し、そう主張しました。
仕事が割り当てられる以前の段階で有給休暇取得の意思と時季を明確に指定しているのですから、使用者側にこれを拒否する正当な理由など作れるはずは無いと判断したわけです。
そもそも有給休暇の取得を拒否するとか頭おかしいですけどね。
その他の項目については念のための保険みたいなものです。残念ながら日本企業で働く人間は総じて労働法制に対する認識が甘いんですよね。企業の管理職たる人間であっても、人を雇用する側の人間であるという自覚がまるで無いことが多いです。
解ってないなら解らせてあげるしか無い。
私の勤務する企業ではそれなりにちゃんとした労働組合があるようなので、正当な理由なく時季変更権を行使するようであれば、労組を通じた交渉を行う腹積もりがあることを伝えました。あくまで丁寧にやりました、というだけの話ですけどね。
有給は遊びぢゃねぇんだよ(#゚Д゚)
なぜ長期の有給休暇を取ろうと思ったか
有給休暇の取得に理由など要りません。
実際特に理由はありません。旅行に行きたかったわけでも転職活動をしたかったわけでも資格取得のために勉強したかったわけでも何かトラブルに対処したかったわけでもありません。
事実引きこもってずっとネットゲームしてましたよ(๑´ڡ`๑)
丁度お金もない時期でしたのでね。遊びに行くお金もありませんでしたからね。
強いて動機を挙げるなら評価に納得出来なかったこと。
「こんなに頑張っているのに」ではなく「これだけの成果を上げたのに」この評価か、と自分なりに腹に落ちない部分があったのでね。
自分のスキルを活かせる現場は他にたくさんあり、かねてから異動希望を出し続けていて、それを「スキル的に抜けてもらうわけには行かない」という説明をされていたにも関わらず、周囲のポンコツ社員と同じ、もしくは下の評価となればそれは納得がいかない。
んじゃ休むか(゚Д゚)
的なね。
取得した結果どうだったか
自分の心持ち
人によっては自分が居ないことによって誰かに迷惑をかけているんじゃないかと思って気に病んでしまう人もいるのかも知れません。でも安心してください。
あなたの一人や二人居ないくらいで会社は全く困りません。
安念ながら動かしがたい事実ですよコレは。例えどんなに優秀な人であっても、あの人が居なければ困ると周囲に思われている人で会ってもです。
私も当時所属していたプロジェクトでは決してホイホイ代わりが効くようなヌルい仕事をしていたとは微塵も思いませんが、それでも特に困った様子もなく現場は回っていたようです。
そういうもんですよ、仕事なんて。
なので後ろめたさや申し訳無さを感じたことは全くありませんでした。むしろ長期の有給休暇を取得できるんだ、というロールモデルを同僚は後輩に示すことが出来て良かったと思っています。
私の背中を追う人は居ないかも知れませんが(笑)
スキルの劣化
30営業日(土日祝日を合わせると一月半)休んでしまうと仕事を忘れてしまうんじゃないか、なんていう危惧もあるかと思います。
全然そんなことありませんでした。
勿論プロジェクトの状況は変わっていますが、決まったことだけキャッチアップすればいいんです。大した話じゃありませんよ。
恐れることは全くありません。
周囲の反応
コレは様々ですが、一緒に仕事をしていた同僚からはそんなに白い目で見られることはありませんでした。普段からぞんざいな物言いをする私のキャラクタの影響もあったも知れませんけどね。
実際戻って来たら何も困ること無く仕事に復帰できましたし、穴を開けて迷惑を掛けた、なんてことは無かったですしね。十分に余裕を持って予定を知らせていたわけですから当然といえば当然です。
業績評価の査定などにも特にペナルティを課されるようなことはありませんでした。当然と言えば当然ですし、休暇期間を含む評価期間での業績はきちんと上げているわけですしね。
ただ出世の目は消えたかな。
元々管理職任用は断ろうと思っているので大した影響では無いですけどね。その辺の思いはコチラの記事に。

流石に会社側の人間に会社を快く思わない人間を登用するわけにも行かないでしょうからね。そこに違和感は全くありません。
おわりに
その気になればヨーロッパのような長期休暇を実現することも不可能ではないと言うことです。しかしながら勿論そのハードルは極めて高く、労働者側の強いメンタリティや会社側との交渉スキル、加えて比較的おおらかな社風と個人のキャラクタなんかも実現には必要なのかも知れません。
日本人にもきっちりと行使すべき権利は行使する、という当たり前の意識が定着して働きやすい国になると良いですよね。
それではまた。